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DLA Piper法律事務所と訴訟ファイナンス会社・Litigation Capital Managementが提携し訴訟ファンドビジネスに参入

訴訟ファンドは、対象の争訟案件を発掘するにあたりネットワークを利用し様々な法律事務所のパートナーと連携するケースがしばしばみられる。しかし、今回、英国大手訴訟ファンドと大手国際法律事務所が、正面から提携して法律事務所クライアントに対する訴訟資金ファイナンスに取り組むことを公表した。
訴訟ファイナンス会社・Litigation Capital Management(以下「LCM}という)は、DLA Piper法律事務所(以下「DLA」という)と非独占的に総額£150 m.をDLA のクライアントの大規模訴訟に提供する合意に達した。昨年5月にはLCMが英国のFieldfisher法律事務所が初めてクライアントに訴訟ファイナンスをするサービスを始めたがこれに次ぐものである。ただし、DLAはこうした取り組みをした法律事務所の中で一番規模が大きい法律事務所である。

この計画の一部としてDLAの前パートナー2名がAldersgate Fundingという訴訟ファンドを立ち上げ、DLAのクライアントにDLAの訴訟スタイルに沿ったデューデリジェンスや意思決定を容易にするプロセスを提供する。
今回の取り組みは、LCMにとり法律事務所と協働するというこれまでの動きの一環である。
既にLCMは英国の法律事務所Clyde & Co. ともう一事務所との間で同様の取り組みを既に行っている。
LCMによれば今回のDLAとの取り組みは、LCMが、先進的な法律事務所と世界的に協力することばかりでなく、クライアントから要求される従来型の訴訟ファイナンスのモデルを超える資金問題の高度な解決方法を提供することになるという。特に、コロナパンデミックの状況において企業クライアントは、法律事務所に対してリーガルコストを削減できるような代替的なサービスを強く要求するようになっている。これに応じて先進的な法律事務所は、特にコスト管理が難しい争訟案件において費用面でクライアントの助けになるような方策を模索しているのである。
LCMは、今回のDLAとの取り組みは、法律事務所が、企業クライアントの要求を満たす優れた方策であると主張している。

一方で、DLAにとり、前パートナーが運営する事実上の専属的訴訟ファンド・Aldersgate Fundingを持ち、提携先のLCMからの資金を確保できることで、より迅速に訴訟資金の手配を自身のクライアントに行える。また、これにより他の競争相手との争訟案件の獲得競争にも有利になる。
大手法律事務所からの多数の争訟案件ファイナンスの獲得は、ポートフォリオをより多様化できることになりLCMにとりリスクを縮小できるメリットがある。

確かに、企業クライアントにとり訴訟開始にあたり訴訟ファンドからのデューデリジェンスなどの手続きが訴訟担当法律事務所と関係の深いAldersgate Fundingの関与でスムーズになることはメリットかもしれない。しかし、一方でファンドによる訴訟コストの管理が専属的かつ人的につながりの深いAldersgate Fundingにより甘くなる可能性も危惧される。
今回のDLAの訴訟ファイナンス会社との提携は、コロナパンデミックにより経済情勢が不透明の折、大手法律事務所もクライアントからのコスト削減要求や自らの効率的資金運用の要請に対する一つの解決方法になると思われる。

隼あすか法律事務所
外国法事務弁護士
ニューヨーク州弁護士
鈴木修一