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The New York City Bar Association(ニューヨーク市法曹協会)の報告書により訴訟資金ファイナンスが強力な後押しを受ける

The New York City Bar Association(ニューヨーク市法曹協会)は、弁護士と訴訟資金提供者の間で締結される資金提供契約(Funding Agreement)は、訴訟当事者にとりメリットになると結論付けるともに法曹倫理の観点からも許容されるものとする報告書を公表した。
本報告書は、訴訟手続きにおいて商業的な資金提供契約の強制的な開示請求を認めず、訴訟資金ファイナンスへの主要反対論を退け、訴訟資金ファイナンスを活用しようとする弁護士と請求権保持者にこれまで以上の保証を与えるものである。
90ページに及ぶ本報告書は、25名の訴訟資金ファイナンス審議のワーキンググループにより発表された。この審議会は、一年以上続き、そのメンバーには引退した連邦裁判所判事、法曹倫理専門家、弁護士、紛争仲裁専門家、及び、訴訟資金提供者が含まれていた。この審議会による検討結果は、米国の訴訟資金ファイナンスの最も深い分析を表しているものである。

 

2つの主要な推奨

審議会は2つの主要な推奨を行った。第一は、法曹倫理は、明確に弁護士と訴訟資金提供者の間の資金提供契約を許容すべきよう修正されるべきであると推奨した。審議会は、法曹倫理修正に関して2つの競合する修正提案を提案したが、どちらの案も法曹倫理は弁護士が第三者からの訴訟資金提供を受けることを明確に許容するよう修正されるべきであるとした。審議会は、もし弁護士が、容易に資金提供を受けられるようになれば、それは弁護士と依頼人の双方の利益になると結論付けている。

 

第二に審議会は、裁判手続きにおいて商業的訴訟資金ファイナンスについての強制的な開示請求を認めなかった。最近の強制的な開示を要求する法律を制定しようとする努力の背後にある論争を広範に調査した後、審議会は、商業的訴訟資金に関しては、連邦裁判所でも州裁判所でも強制的な開示請求は認められないとした。更に、訴訟資金提供契約の詳細はそれを正当化する特別の事情が存在する限りにおいてのみ開示されるべきであると推奨した。

 

規則5.4の修正の提案

ニューヨーク市法曹協会が、弁護士と非弁護士間の報酬の分配を禁じるニューヨーク州法曹倫理規則5.4に弁護士と資金提供者間の訴訟資金取引は抵触するとの論争のある意見書を提出した直後の2018年に審議会ワーキンググループが開催された。
この意見書は、大きな波紋を法曹界と金融界に呼び起こした。何故なら法律事務所は、既に訴訟資金提供会社からノンリコースで資金を調達するようになってきていたし、資金提供者は、法律事務所の成功報酬ベースの案件からの配当がその資金提供を支えていたからである。(もっとも通常の訴訟資金提供は資金提供者と弁護士ではなく法的請求権保有者の間であり、こうした通常の資金提供契約は、規則5.4には抵触しない。問題があるのは直接法律事務所に対して行われる場合だけである)

 

審議会ワーキンググループの意見は、2018年の倫理問題については触れられていなかったが、メンバーは倫理問題に改正問題を検討することを求められた。ワーキンググループメンバーは規則5.4の修正の詳細については意見が一致しなかったが、弁護士は報酬分配禁止に触れることなく第三者から訴訟資金提供を受けることができるよう規則を修正することに合意した。

 

ワーキンググループはこの修正を商業的なニーズと法曹のニーズ及びそれらの現実に合致するものであり、且つ、資金を受けられることで弁護士も依頼人も利益を得ることになるという理由で認めた。
換言すれば、第三者の訴訟資金提供は、我々の法的システムにとり悪いことでなく良いことなのである。ワーキンググループは、現在の規則が、特に利益相反禁止と依頼人の秘密保持を強く要求しており、第三者から訴訟資金提供を受ける弁護士が、自らの独立性を維持し、資金提供者より依頼人の利益を優先しなければならないことを既に要求していると正しく強調している。

 

2つの提案の主な相違点は、資金が法律事務所の一般運転資金に使われるべきか、特定の案件に使われるべきか、また資金提供者の案件への関与の程度、及び、依頼人が十分な情報に基づく同意をする必要があるかなどについてである。ワーキンググループは、2018年の意見は、単なる助言的意見であり、拘束力ある先例でもなく、業務の要求される規則でもないことを強調している。2つの規則5.4に関する提案は、少なくとも訴訟資金ファイナンスが現行の規則で認められないものではないことを確認しているのである。

 

強制的開示請求の拒絶

審議会のもう一つの開示に関しての推奨は、規則5.4についての結論となる。訴訟ファイナンス反対論者は、訴訟の被告が、資金提供契約が訴訟に関連するか否かを問わず、また秘匿特権で守られていないことを証明できるか否か問わずに、訴訟資金契約を連邦法及び州法で訴訟開始時に強制的に開示させることができるよう努力している。

 

ワーキンググループは、この問題につき賛成論と反対論双方につき広範に分析し、30ページも費やしている。ワーキンググループは、商業的な訴訟資金提供契約の強制的な開示は必要ないとして認めないという結論を出した。ワーキンググループは、更に特別の事情がない限りケースバイケースでも開示が認められるべきではないと述べている。しかしながら集団訴訟での開示については結論を差し控えた。また、裁判手続きではなく仲裁手続きにおいては通常の資金提供の事実と資金提供者の特定についての通常の開示を推奨した。

 

ワーキンググループの開示についての結論は、米国の法曹の現在のコンセンサスを表していると言える。過去数年間に及ぶ判決の多くは、被告による訴訟資金提供契約の開示請求に関するものであった。大多数の判決は、資金提供契約が請求や事件の防御に関係がないという理由とか弁護士作成文書や秘匿特権に該当する理由により、こうした証拠開示を認めなかった。

 

ワーキンググループは、米国における訴訟資金ファイナンスについてのこれまでの最大の調査の結果を踏まえて、訴訟資金ファイナンスの拡充は、弁護士と依頼人の双方の利益になるものであること、訴訟資金提供は弁護士の独立性を阻害しないこと、及び、商業的訴訟資金は特別の事情のない限り裁判上で開示の対象にならないと結論付けた。

 

訴訟資金利用者たる法的請求権保有者は、裁判官や立法者が訴訟資金ファイナンスに関する規制を検討する際、このワーキンググループの推奨を参考にしてくれることを期待すべきである。

 

The Bureau of National Affairs, Inc.
The United States Law Week
March 21, 2020
Portfolio Counsel at Validity Finance
William C. Marra Esq.
https://news.bloomberglaw.com/us-law-week/insight-litigation-funding-wins-a-major-endorsement