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米国で訴訟ファイナンスの透明性は今後増していくのか?

訴訟ファイナンス市場は、沈静化する兆しはないが、規制当局や司法当局から訴訟ファイナンスの存在を公にすべきか、また、どの程度まですべきか検討する圧力が高まってきている。最近、外部からの資金提供がなければ実現されることのない請求権に対する訴訟ファイナンスやリスクマネージメントとしての訴訟ファイナンスの活用が進んで切る。
これまで殆ど訴訟ファイナンス利用の当事者はその利用の有無や資金原を開示する必要はなかった。しかし、最近の傾向として訴訟ファイナンスにも透明性が求められ始めている。

 

最初の動きは、集団訴訟や複数管轄地訴訟で現れた。こうした事件では、裁判官や被告は、訴訟結果が訴訟ファイナンスを提供する第三者の経済的利益につながっていることにより当該事件の和解などの解決が影響されることに危惧を抱いている。
こうした危惧からいくつかの州裁判所は、原告当事者やその弁護士に訴訟ファイナンスが使われているか開示を命じている。裁判所命令による刑事命令は、訴資金提供者の特定、資金提供関係の性質から弁護士―依頼人間の法曹倫理違反が生じないことの確認にまで及んでいる。但し、多くの場合、特段の理由のない限り訴訟ファイナンスについていわゆる証拠開示手続きはそれほど認められてはいない。

 

裁判手続きにより訴訟ファイナンスの開示を認める裁判所は少数に留まるが、立法府や規制当局は、訴訟ファイナンスにつき開示を拡大する動きを始めている。いくつかの州では訴訟ファイナンスの開示を強制する法律を制定しており、2018年のウィスコンシン州はその先駆けである。2019年にはウエストバージニア州が証拠開示手続きで訴訟ファイナンスの開示を認めるとともに訴訟資金提供者を監視する規則を制定している。

連邦議会もこうした動きを注視している。連邦議会では、Chuck Grassley上院議員と共和党議員がthe Litigation Funding Transparency Act of 2019 (S.471)を2019年2月に提案し、複数管轄地訴訟と集団訴訟における訴訟ファイナンスについての透明性と監視を認めるようTitle 28の修正を求めた。2019年10月 the MDL Subcommittee of the Federal Rules Advisory Committeeは、訴訟ファイナンスはすべての種類の訴訟に影響を及ぼすのであり、委員会全体レベルでこの問題を審議するよう提案した。2020年1月のthe Committee on the Rules of Practice and Procedureからの報告では訴訟ファイナンスの拡大に対してどのような規制をすべきか継続して検討されるべきとされた。

 

このような状況の背景には、訴訟ファイナンスがこれまでにないペースで浸透してきており、また、訴訟防御側へのファイナンスや成功報酬ベースの資金提供など新しい形を生み出してきていることもある。Proskauer’s Private Equity and Hedge Fund 2019 Annual Reviewで述べられているように、訴訟ファイナンスは、訴訟当事者のバランスシート上の負債を減らし、また、その敗訴リスクを減らす一方で、潜在的な訴えの利益のある事件に資金提供を許すことで法的紛争が触発される可能性もある。

 

このように裁判所はこの分野の証拠開示を認めることに消極的だが、規制当局は、訴訟ファイナンスの利用の有無やもし使われているならその資金提供者が誰かがわかるような仕組みを求めているようである。従い、訴訟ファイナンスを利用し訴訟費用を抑えようとする当事者やそれを投資対象としようとする当事者は、今後、規制当局や裁判所により透明性が求められることを注意すべきである。

 

January 16, 2020, Proskauer Rose LLP
James Anderson
http://www.mondaq.com/unitedstates/x/884288/trials+appeals+compensation/Is+Increased+Transparency+Into+Litigation+Financing+On+The+Horizon