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反対論の多い訴訟ファイナンスだが、成果を上げ順調に成長中

ちょうど20年ほど前、訴訟で得られる金額の一部を対価に訴訟費用の資金を提供するというアイデアを掲げた少数の理想家が現れた。人々は、これを聞きつけ、「マイアミにフィデル・カストロが上陸した!」と思ったかもしれない。 

 

早速、米国商工会議所はタスクフォースを作り、メディアと法規制の力でこれを抑え込もうとした。ビジネス界にとって、このようなファイナンスは、既に巷にあふれている恣意的訴訟を増加させるばかりだと考えられたのである。こうしたファイナンスは、彼らにとって根絶させなければならないのである。すでに訴訟ファイナンスは、個人の人的被害の損害賠償事件ばかりでなく、独禁法違反や特許権侵害訴訟に事件にまで広がり始めていたからである。

 

しかし、20年後、こうした反対運動にもかかわらず、訴訟ファンド会社のいくつかは株式公開し、更に巨大化してきている。多様で独立した投資家たちも参入してきた。これは訴訟ファンドが魅力的であり、且つ、持続的成長が可能なことを示している。

 

伝統的に極めて保守的で創造性に欠ける法律業界全体にとって他業種のリーダーが新しいエネルギーを導入してくれるのは良いことである。Pravati Capital C.E.O.のAlexander Chucriはインターネットビジネスの成功者であるが、中小規模の法律事務所と直接働いていた。こうした中小事務所は、被告大企業を大手法律事務所が代理する訴訟での防御に使う消耗戦を戦う資力を有していない。典型的なダビデ対ゴリアテのケースである。

 

驚くなかれ、社会正義に目覚めながらも利潤追求する投資家が現れた。2003年にChucri自身が悪質な訴訟に巻き込まれ、いかに訴訟で戦うことが困難か自ら知ることとなった。そこで彼は、法的に正当な請求のための画期的なファイナンスの必要性に気づいた。

 

社会正義の実現のためにいかに資金提供者が重要な役割を担うのか?Pravati Capitalにとりそれは冤罪事件、知的財産権略奪事件、薬害事件であった。大手訴訟ファンド会社のBurford Capitalにとってそれは、The Gillette Company v. Provost et al. 事件であった。この事件は、中小企業に対して正当な戦いを保証するものであった。2015年Gilletteはスタートアップ企業のShaveLogicとGilletteの特許開発した前従業員を訴えた。被告は、ビジネスを続けながら訴訟を継続するのに財政的な困難を極めていた。そこに現れたのが、後にBurfordに買収されるGerchen Kller Capital であった。著名法律事務所Bartlit Beck LLPを雇い、訴訟防御と反訴を行い、2017年に有利な裁判所の判断を得て和解できた。

 

と言っても訴訟ファンドは、いわゆる社会派原告弁護士のようなものではない。決してアンチビジネスでもないし、企業利益に反対しているわけでもない。むしろ真実は逆のところにある。訴訟ファンドが、すべてのビジネスが平等に競争できるように助けるものであることからすれば、訴訟ファンドを悪者扱いするのは間違っている。例えばGilletteのケースでは、原告ではなく被告に資金提供しているのである。ここでは権利の濫用を訴訟ファンドが正している。

 

「企業の訴訟ファンドの利用の急増を見れば、米国商工会議所の司法制度改正協会は会員の利益から逸脱している。米国企業一般の利益でなく、大企業の利益を代弁している。」とBurford Capital のDaniel Perlaは述べている。現在、米国議会で議論されているが、昨2月には訴訟ファイナンス透明化法案が提出された。これは集団訴訟や複数管轄にまたがる訴訟での第三者からの資金提供の開示を原告当事者に求めるものである。この開示対象の訴訟は限定されているものの、将来。他の訴訟にも拡大することが危惧される。今のところ資金提供者の義務は、クライアントとの契約のみである。資金提供している先と資金提供者の株主との間の利益相反も開示の必要はない。しかし、今日、議会では何事にも透明性は求められる。妥協案としては、担当裁判官に資金契約の要点を知らせ、開示することである。

 

麻薬性鎮痛薬の製造会社に対する地方自治体などによる複数管轄にまたがる600件以上の訴訟を担当するDan Polster裁判官は、原告側が訴訟遂行し、和解するに原告に利益相反がないか確認数するため訴訟ファンドの詳細がカメラで記録されて開示されるよう求めた。しかし、いかに透明性が求められていようと、訴訟ファイナンスの取引自体も資金提供者側の利益相反の恐れも対象の訴訟の本質的な問題になるとは考えられない。Burford のPerlaは、「この法案も昨年通過しなかった法案と異なる扱いを受けるとは思えない」と述べている。

 

米国商工会議所やその他のロビイストが、将来どのように立ち向かって来ようと、訴訟ファイナンスへの時代の変化は避けられないであろう。
法律業界の内部者にとって、訴訟ファイナンスは、新しい業務方法となることを示しているし、外部者にとっても内部者と同じように重要な意味をもってくるだろう。Chucriが言うように「いかに強力な既存勢力が現状維持を計ろうとも、市場が合理的な方向に向かっている証拠がある」のである。

 

Forbes 2019/07/01
Richard Levick Esq.
https://www.forbes.com/sites/richardlevick/2019/07/01/litigation-financing-a-controversial-industry-does-well-by-doing-good/#4048c8c16af2