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訴訟ファイナンスに関する法曹倫理を検討中のニューヨーク市法曹協会はパブリックコメントの開示をせず!

第三者からの訴訟資金提供に関する法曹倫理の修正をすべきか検討中のニューヨーク市法曹協会は、パブリックコメントの公開を行わないようである。全米で影響力のあるニューヨーク市法曹協会は、急成長を続ける原告や法律事務所に資金供与する訴訟ファイナンスをどう法曹倫理上扱うか検討を続けている。昨年、ニューヨーク市法曹協会は弁護士が訴訟で得る報酬を資金提供者と分けるような契約は法曹倫理に反するとの意見を明らかにした。

ニューヨーク市法曹協会は、外部者と弁護士報酬を分けることを禁じる法曹倫理2018-5を再検討することはないものの、法曹倫理や規則の修正を検討することを否定していない。訴訟ファイナンス検討部会のコメント締切日は昨5月30日であったが、部会の責任者のEric Friedmanはコメントを公表しないと述べた。

 

一方、訴訟ファイナンス業界は、昨年のニューヨーク市法曹協会の意見は誤解を招くものであると主張している。Validity FinanceのRalf Suttonは、訴訟ファイナンスは利用者の司法へのアクセスを助けるものであると述べている。訴訟ファイナンスは、当事者が、資金的にあきらめざるを得ないような訴訟を起こせるようにするばかりでなく、法律事務所に対する資金提供により、依頼人に報酬請求することなく事務所運営の資金繰りを円滑にすることができ、弁護士当人にとっても資金繰りからの精神的なストレスを軽減することになる。

 

また、Kellogg Hansen Todd Figel & Frederic 事務所のDerek Hoは、ニューヨーク市法曹協会のワーキンググループが訴訟資金ファイナンスを利用する弁護士に対して裁判所と相手側弁護士に訴訟ファイナンス利用を開示させる規則の提案をしようとしていると批判している。このような開示は、訴訟ファイナンス利用者と資金提供者のコストを増加させるばかりでなく、訴訟資金ファイナンス利用者と提供者の間の自由な交信の妨げとなり、健全な民事訴訟制度の機能を損なわせるものだとしている。

 

ニューヨーク市法曹協会は長年続いてきた弁護士の独立性を維持するための弁護士報酬の非弁護士との共有を禁じてきたが、それは1928年の全米法曹協会の規則に遡る。この規則は1969年にモデルコードで再確認されている。ニューヨーク市法曹協会は、2012年に非弁護士のマーケティングコンサルタントは弁護士報酬から対価を受け取ってはならないとし、2015年には事務所の報酬から対価を支払う条件でクラウドファンディングで資金調達することを禁止した。

 

訴訟資金ファイナンスで訴訟から得られる金銭の一定割合を受け取ることと、資金提供額に金利を受け取ることには大きな違いはないと法曹協会は述べている。そのような場合、非弁護士が、弁護士に対して不当な影響力を行使するインセンティブがあり、または、その能力を持っていると規則は想定しているからである。

 

ところで、保険を付保している被告当事者は原告弁護士に対して訴訟の開始時に保険契約を開示することが求められる。これにより原告は相手側の財務状況を知ることができ、どう和解ができるか知ることができる。原告に対する訴訟ファイナンスが数十億ドル規模になろうとしている中、同様な規則が訴訟ファイナンスにも適用されるべきではないかという意見もある。

 

ニューヨーク市法曹協会のワーキンググループは本年度末までに最終報告を提出する予定である。

Legal News Line 2019/06/07