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何故、インドの訴訟ファイナンスが世界の投資家から注目を集めているのか?

1954年、インド最高裁判所は、弁護士が関与している限り第三者による訴訟資金ファイナンスは倫理上、公益上、道徳上も問題はないと判示した。更に最近、最高裁は、第三者からの訴訟資金提供は制約されることはなく、訴訟の結果得られる金銭を受け取ることに問題はないことを確認した。従い、インドにおいては第三者からの訴訟資金提供に法的な制限はない。

 

インフラ部門では、多くの建設会社がインド中央政府や州政府機関に対して多くの訴訟や仲裁を起こしている。これらの建設会社の政府機関に対する主な請求原因は、政府機関との契約で契約上政府の義務である地役権の設定が遅れたり、土地の提供が遅れたりすることによるものである。これらの会社にとり資産が不稼働になり、バランスシート上の問題になる。こうした場合、建設業界は第三者からの訴訟資金提供が必要となる。

 

最近では、Hindustan Construction Co., Ltd. (HCC)が、ブラックロックの率いるコンソーシアムにBHAI, NHPC and NTPC Ltd.に加え中央・州政府機関に対する契約上の請求権を譲渡したが、これがインドにおける第三者からの訴訟資金提供の先例となり、世界の投資資金提供者の信頼性を高めることに繋がるであろう。多くのインフラ業界の会社は、第三者からの訴訟資金提供により、バランスシートからリスクを除き、訴訟の係属により凍結されていた資産を自由にすることで成長に向かうシナリオを描くようになる。

 

更に1996年仲裁及び調停法の改正は、裁判所からの仲裁手続きへの干渉を減らし、仲裁手続きの迅速化、仲裁機関による仮執行宣言などを含んでおり、これらは仲裁に資金提供する第三者にとり魅力的なものと言える。

 

また、訴訟資金提供は、金融市場のリスクから遮断されているため景気低迷の局面でも魅力がある。また、投資に対するリターンも10%~45%と高配当である。

 

インドの産業界が第三者からの訴訟資金提供に興味を持つことは疑いないであろう。また、迅速な仲裁手続きも訴訟資金提供側には魅力的である。しかし、訴訟資金提供者側において適切な法的デューデリジェンス、裁判か仲裁の選択、適切な執行地の選択、資金提供額の限度設定、資金提供契約の適切な作成などは重要である。

High yield, low risk: Why India’s litigation finance market catches the eye of global funders