海外トピックス

中低所得者のクライアントは、訴訟費用のファイナンスを本当に必要としているか? 新たなABA倫理委員会が示すガイドライン

全米法曹協会(American Bar Association, “ABA”)の常任倫理委員会による正式な意見書によると、法律事務所(弁護士)は、金融会社や金融ブローカーに金銭的な利害関係がある場合でも、弁護士報酬の支払いのためクライアントに紹介しているケースがあると報告している。

2018年11月にリリースされた「正式意見484」により、司法のギャップ解消のための手段である弁護費用のファイナンスにつき透明性が確保されることが期待されている。

ABA常任倫理委員会委員長のBarbara S. Gillers氏は、「一部の試算では、低所得者および中所得者の75%以上が、経済的理由で受けられない法的ニーズを持っている」と述べた。「正式意見484は、弁護士を雇うために融資を望むかもしれない、または、必要とするかもしれない人々のために、法的サービスへのアクセスを増やすための取り組みとして重要な意味があると言える。今回の正式意見は、クライアントを金融会社や金融ブローカーに紹介する際に弁護士の義務を明確にすることによって、クライアントを保護しようとするものである。」

また、今回の文書では、弁護士により既に利用されている弁護士費用のファイナンスサービスの様々な例を紹介している。

例えば、クライアント自身が、金融会社に直接ローン申請をして、弁護士費用を支払い、5〜15%の金利でファイナンス会社に返済するものがある。別の例として、弁護士が、金融会社に最初の手数料を払い、クライアントが、融資申請を行うものもある。クライアントがこの方法で資金を受け取った場合、弁護士は10%の手数料を差し引いた金額を受け取る。さらに、弁護士は、クライアントへの弁護士報酬を金融会社からサービス料を差し引いたものに設定することで受任を獲得するケースもある。また、金融会社から直接クライアントに資金が送られたことが、対価を払う弁護士にオンラインポータルを通じて通知されるサービスがある。また、弁護士報酬を現金支払いで受領できるように弁護士がクライアントに融資申請を手伝うためのツールを弁護士事務所に備えていることもある。

弁護士は、法的資金の調達のためのオプションを見つける金融ブローカーと協力することもできると言われている。その場合、照会を行う弁護士は、金融会社または金融ブローカーに対して所有権や利権を持ってはならず、金融の手配について説明して、クライアントが十分な情報に基づいた意思決定ができるようにしている。

こうした弁護士の活動は、以下のABAの法曹倫理モデル規則が満たされている場合にのみ許可されることになっている。

モデル規則1.2(c)は(クライアントと弁護士間の権限と配分の範囲)

モデル規則1.4(b)は(コミュニケーション)

モデル規則1.5(a)と(b) (弁護士報酬)

モデル規則1.6(守秘義務)

モデル規則1.7(a)の(2)利息の(利益相反:現在のクライアント)

モデル規則1.9(a)の(旧クライアントに対する義務)

今回の意見書では、将来の判決金や和解金の一定割合の支払いを条件とするノンリコースの訴訟資金ファイナンス(いわゆる「訴訟ファンド」)には触れておらず、クライアントが、直接、借りたお金で弁護士報酬が支払われる場合のみを対象としているのでモデル規則5.4(c)(弁護士の専門職としての独立性)は適用されない。
また、弁護士が金融会社に支払わなければならない取引費用または手数料について弁護士がより高い手数料を請求した場合、その手数料は合理的なもので、クライアントに開示されなければならないと述べている。さらに、弁護士は、自らへの弁護士費用の支払いやタイムリーな支払いを確保するため、クライアントの利益にならないにも関わらず、金融会社や金融ブローカーをクライアントに推奨すべきではないと警告している。

Does your client need fee financing? NewABA ethics opinion provides guidance