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投資の手段としてますます注目が高まる訴訟ファンド

米国の株式市場が10年連続で成長するにつれて、景気循環の影響を受けない資産と、業績が他の市場サイクルと相関していない資産は、ますます投資対象としての需要が高まっている。私的に交渉される第三者による訴訟資金調達はこれに分類されるとみなされている。

数十億ドル規模の新興投資セクター

訴訟資金供与は、歴史的に判例法の国では不法行為になると認識されてきた。不法行為にならないように、慎重に訴訟ファンドのスキームが作り出されてきたことによって、多くの裁判管轄で規制を受けることが少なくなり、訴訟ファンドの市場はこの20年間で数十億ドル相当の世界的な産業となっている。

第三者からの資金調達の必要性は、訴訟の規模が大きくなり、事案の複雑さが増していることに起因している。法律事務所にとり、訴訟結果による成功報酬はサステナブルなビジネスモデルだとは認識されなくなっている。また、判決までに長期間かかるので、正当な主張を持つ原告当事者でもしばしば、訴訟を継続するための資金を即時に工面する必要性に直面する。訴訟ファンドから資本が流入することによって、原告当事者が直面するジレンマが解消され、原告当事者は訴訟を継続することが可能になる。

Bentham IMFやBurford Capitalなど、この分野のグローバルリーダーは、原告当事者のバランスシート上の負債を軽減する手段としての資金調達手段を提供し、あるいは、敗訴リスクを回避することで、その訴訟自体の存続を可能にする方法を提供している。

法律事務所も訴訟ファンドのスキームに魅力を感じるようになっている。2017年にBurford Capitalが実施した2017年の訴訟ファンドレポートによると、調査対象回答の米国の法律事務所の3分の1以上が訴訟ファンドを利用していた。資金調達は通常、原告企業で行われるのが一般的だが、被告側も訴訟費用もカバーするために資金調達を利用する事例も出てきている。

なぜ訴訟ファンドに投資するのか?

訴訟ファンドが投資家にとって、魅力的な理由は2つある。

まず1つは株式市場などの景気循環と相関する市場サイクルとは無関係である点。これは、訴訟が金融政策や金融市場の変化に追随しないため、潜在的な景気後退に対するリスクをヘッジする手段を提供することを意味している。景気後退局面で訴訟が増加した場合、すなわち破産件数が増加した場合には、金融市場の状況と逆相関する可能性もある。

2つ目は、潜在的に低いリスクで、高いリターンを提供可能である点。訴訟ファンドへの投資は、しばしば投資金額の2桁以上の配当収益をもたらすことがある。判決前の和解件数が多いために通常はリスクの低い投資カテゴリと比較すると高い利回りとなる。

訴訟ファンドの初期段階では、グローバルに展開する銀行が主な投資家であったが、現在では、ヘッジファンドや資産管理会社が増えてきている。アセット・マネージャーは通常、企業間の訴訟に資金を提供するが、いわゆる集団訴訟にも資金を提供している。例えば、消費者製品、医薬品または医療機器から人身傷害を被った多数の原告を対象とする大規模消費者集団訴訟である。

最近、企業間訴訟ファイナンス提供者は、単一の訴訟を対象とするのではなく、多様な訴訟によって構成されるポートフォリオに大きな投資を行っている。2017年に第三者資金を調達したファンドの訴訟当事者のうち約40%が受け取った資金を複数の訴訟を含むポートフォリオから受けている。Burford Capitalなどの訴訟ファンドは、大部分をポートフォリオに対して資金提供を行っている。訴訟ファンドに関するもう一つの重要な兆候は、訴訟ファイナンスの商品化である。訴訟が解決するまでに数年かかる可能性があるため投資家の現状のポジションを確定させるというニーズに対応して、二次流通市場が形成されてきている。

新しい規制にもかかわらず強い投資家のニーズ

訴訟ファンド市場の成長と消費者集団訴訟への関心の高まりを受けて、米国では州および連邦規制当局ならびに法曹倫理委員会はより詳細な調査を進めている。ニューヨーク市弁護士会の倫理委員会は、弁護士間の直接的な資金調達には、注意を払うべきだという見解を発表した。これは、弁護士がその職務義務を果たすことと報酬を得る根拠の正当性が担保されない可能性があるためである。一方、少なくとも12の州が訴訟ファンド事業のいくつかの側面を規制する法律を採択している。例えば、ウィスコンシン州は、訴訟資金調達方法を開示する必要があると決定した。

規制の見直し、強化の動きが増えているにもかかわらず、訴訟ファンドは、米国だけでも約100億ドルの相当の市場があると推定されている。訴訟に投資するために過去2年間に約30の訴訟ファンドが創出され、これらの新しいファンドは20億ドル以上の資金を調達している。

この成長分野は、原告当事者が司法制度にもっとアクセスできるようにすることで、裁判所をより公平に活用できるようにする可能性を秘めている。一方、投資家はポートフォリオを多様化するための様々な選択肢を持つことができる。この分野でのより多くの競争とより多くの規制が進むことは、訴訟当事者のより多くの選択肢とより良い保護につながり、訴訟ファンド市場をさらに産業として成長させることになるだろう。

Litigation Funding: An Increasingly Popular Investment Vehicle